小学校の頃だったかそれとも中学校の頃だったかは忘れたが、国語の授業で教わった高村光太郎の「智恵子抄」の一説が、何故かこの歳まで頭の片隅に残っている。

―― 智恵子は東京に空がないと言ふ ――

というやつだ。
これを教わった時、「何をおおげさな。東京にだって空はあらぁな」と冬の空を見上げた記憶が残っている。その後、生意気な小僧は自動車業界で働くようになり、走り屋のメッカ、エビスサーキットにも出没するようになった。エビスサーキットは福島県二本松市にある。ある時、この二本松市が智恵子の生まれ育った土地であることを偶然知った。確かに、あのあたりの空はデカイ。智恵子が東京に空がないと言ったのも何となく理解はできる。残念ながら、ビルの隙間から見上げる東京の空は四角くて小さなものだ。

しかし、東京でもデカイ空を見ることができる場所がある。もちろん、お台場の空はそれなりにデカイが海沿いということを考えると感動は薄い。おすすめは、皇居前広場だ。丸の内のビル街を抜けてこの広場に立つと、東京の空もデカイ。なかなか捨てたもんじゃないと思えるはずだ。

もう一つは、西の方になるが調布飛行場だ。飛行場だけにここの空もデカイ。私の地元ということもあり、20代のころから暇ができるとボーッとしに来る。プロペラ機がユラユラと離着陸する姿を見るのもノンビリした感じでいい気分転換になるのだ。サッカー場ができた時に、飛行場周辺も整備され素晴らしい公園になった。おかげで今では毎週のようにボーっとしにきているお気に入りの場所だ。

景気が悪い話が多い昨今だが、人間、不思議なもので調子が悪いと下を見るようにできているらしい。多忙をきわめて疲れてくると、やっぱり下を見る。そこで、せめて休みの日にはデカイ空でも見上げてみてはいかがというお話。飛行機ばかりでなく、UFOも飛んでくるかもしれない。

そうそう、タイトルの狸だが、調布飛行場には狸が生息している。
仕事帰りに流れ星を見ようと飛行場によったら偶然に狸を発見。
ちょっと得した気分だった。