最近、取材でいろんなショップさんを回っていると間違ったチューニングによるエンジントラブルの話をよく聞く。特にR32,33,34 GT-RのRB26DETT。

で、話を総合するとだいたい以下の2点に絞られるようだ。
1.ブーストコントローラー、通称ブーコンのみでブーストを上げてしまった
2.ポン付カム、ポン付タービンをホントにポン付してしまった


つまり、部品だけ付けてコンピューター側の燃料調整や点火時期調整などのリセッティングを行っていないために、エンジンに深刻なダメージを受けてしまったというパターンだ。

へビーな場合は写真のようにピストンが溶けてしまって、ブロックやヘッドまでダメにしてしまう。ライトな場合は、アイドリングしないとか、吹き上がり方にスムーズさがなく速くない、ということでチューニングショップに駆け込んでくるそうだ。


1のブーストアップした場合は、コンピューターのリセッティングが必要だ。基本的にはノーマルコンピューターのデータは、ノーマルブーストにしか対応していないと考えた方が良い。したがって、データの再編集つまりリセッティングが必要なのだ。

ノーマルコンピューターにはフィードバック制御あるいは学習機能があるからコンピューターはそのままでも大丈夫という噂を聞くことがある。しかし、第二世代GT-Rのコンピューターのフィードバック制御はO2センサーによる排ガス対策部分の制御だ。ラムダコントロール領域といわれる部分のフィードバック制御で、高回転、高負荷、ハイブースト時には、単に設定されているMAPを読みにいっているだけだ。したがって、ここを再編集しなければ燃料が不足したり、ノッキングを起こしたりしてエンジンを壊すことになるのだ。

ちなみにR35 GT-Rは空燃比(A/F)センサーを装備しているので空燃比フィードバック制御を行っている一歩進んだシステムを採用。このため、ある程度ブーストアップしてもコンピューターが自動的に修正をしてくれるわけだ。この特性を利用したのがHKSのGT570、GT600というキットになる。


2のポン付けパーツの装着だが、「ポン付け○○○」というパーツはボルトオン装着が可能なパーツであり、そのまま使えるものではない。カムであればバルブスプリングを交換することなく装着できるカムであり、ターボなら純正エキマニにボルトオン装着できるターボである。しかしながら、これらのパーツによりエンジン特性は変わるため、やはりコンピューターのリセッティングが必要なのだ。


コンピューターのリセッティングには、ノーマルコンピューターの再編集とサブコンやフルコンの装着がある。R32、R33 GT-Rは、再編集が可能なチップを採用したコンピューターのため、純正コンピューターの書換えが多い。しかし、R34 GT-Rでは再編集できないチップを採用しているため、V-Pro(HKSのフルコン)などのフルコンやサブコンで燃調や点火時期調整行うのが主流だ。

そのリセッティングだが、基本的には個別にセッティングする現車合わせが望ましい。NISMOが展開するエンジンメニュー(スポリセ、S1、R1)のように、吸排気系を含めたパーツが固定化されている場合は、それもひとつの選択肢だろうが、エアクリーナはA社、パイピングキットはB社、インタークーラーはC社、触媒はD社で、マフラーとフロントパイプはE社。さらにターボをF社というように様々なメーカーのパーツを選択装着するなら現車合わせのセッティングをするしかない。特に、たかがエアクリーナでも純正交換タイプからキノコタイプに交換する場合は要注意だ。吸入空気量を測定するエアフロメーターを使う場合は、センサー部に当たる空気の流れが変わり燃調が狂う可能性が高い。

また、ある程度のチューニングパーツを装着した中古のGT-Rを購入した場合も注意した方がいい。前オーナーがその状態にあったコンピューターセッティングをしているかは判断が難しい。購入後、GT-Rを得意とするチューニングショップで確認してもらった方がいいだろう。場合によってはリセッティングが必要かもしれないが、大切なエンジンを壊すことを考えれば決して高い出費ではないはずだ。


こうしたトラブルが増えてきた背景には、ネット情報の普及があるのかもしれない。もちろん、ショップやメーカーの公式サイトであれば責任をともなった情報が発信されているはずだが、特にフォーラムや掲示板などには首を傾げたくなるような情報もあり、まさに玉石混合の状態だ。

大切なエンジンを守るためにも、何はともあれ、その道の専門家に直接相談することをおすすめする。