NISMO再始動!第4回 『R35 GT-Rニスモパーツ詳細』

絶対的な安心感を目標に開発されたNISMOクラブスポーツパッケージ。
過去に例を見ないプライスタグを掲げて登場したパーツ群は、はたしてどのようなパーツなのか?今回は、開発の取りまとめを行った岡村潤平に聞いてみた。
今回はチタン製のマフラー、そしてレカロとの共同開発のカーボンシートについての解説だ。

Text: Shunsuke Takeuchi
Photo: GTR-World.net / NISMO



■マフラー■
マフラー開発の第一目標は軽量化でした。したがって、当初よりチタン材を使用することを念頭においていました。
既に報じられているように、R35 GT-Rのエンジンは、理想空燃比に近い状態で燃焼させています。ですから、排気温度はかなり高いと言えます(編集部注;水野CVEによると、燃焼室温度は約1000℃。マフラーの内部でも800~900℃もあるとのこと。実際、十勝24時間レースに参戦したマシンのエキゾーストからは、青いガスバーナーのような炎が出ていた)。そこで、通常のチタンよりも耐熱ひずみ特性に優れている独自のチタン材を採用しました。さらに、パイプ自体にも冷却フィンを溶接し、冷却風を導くダクトを設けたカーボンディフューザーもセットにしています。
このマフラーも十勝24時間レースで使用し、耐久性や性能に問題がないことを確認しました。
実は、この独自のチタン材だけでも、かなり高価な材料なんですよ。でも、お客様に安心してニスモのパーツを使っていただくためには、どうしても必要な選択だったわけです。

■シート■


シートは、レカロ社との共同開発です。カーボンシェルにすることで、1脚あたり約6kgの軽量化を行いました。GT-Rでサーキット走行をするにふさわしい製品ということから、シートにも独自のアレンジを加えています。標準的なレカロシートよりも高いホールド性と剛性アップを行いました。ショルダー部やサイドサポートは、レース用のフルバケットシートの形状を取り入れています。
とはいえ、ソフトな本革を張り込み、リクライニング機構もありますから、通常使用で快適なすわり心地を確保しているんです。
それと、ノーマルシートもそうなんですが、座面の形状と縫製は、運転席と助手席で異なります。今回のニスモ製シートも同じように、運転席と助手席の形状と縫製を変えています。
左右セットでなら単品販売もしていますので、特にサーキットを走らないお客様にも、おすすめしたいですね。
品名希望小売価格適用
カーボンバケットシート ¥1,890,000(税込) 左右2脚セット

<仕様>
・材質 バックシェル CFRP、表皮 本革(黒)
・「NISMO」ロゴ刺繍入り、「RECARO」ロゴ入り
・専用シートレール付
・リクライニング機構 ダイヤル手動式
・シートスライド 手動式
・サイドエアバッグ 無し
・重量 対日産純正シート比 -6Kg(1脚)
・保安基準適合品


最後に、今回発売するパーツ類は、生産バラツキも「日産自動車の保証が継続可能な絶対的な安心感」を確保するために純正品なみの高い精度に抑えています(編集部注;水野CVEによれば、GT-Rのスプリングの生産バラツキは、通常は10%以内のところを3%以内に抑えているとのこと)。
製品化の最終段階では、生産バラツキの上限値品、中央値品、下限値品の確認テストも行いました。プロのドライバーが評価しても差を感じられないほどに仕上がっています。アフターマーケットのパーツでここまでやったモノはないはずです。今まで以上に安心して使っていただけるだけの仕上がりになったと確信しています。

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今回、ニスモが発売したR35 GT-R用のパーツ群は、あらゆる意味で、これまでの常識を覆した商品であると言えるだろう。
それは総額546万円という価格もさることながら、新車保証が継続されるというメリットは大きく、これまでのアフターマーケットのパーツとは一線を画している。また、開発過程で行われた生産バラツキ品の確認テストも、これまでの常識を覆すもの。驚きのプライスタグには、それなりの理由があったのだ。
思えば、今までのアフターマーケットパーツはオウンリスクが大前提。改造すれば、新車保証が適用されないのは、R35 GT-Rが登場するはるか以前からの決まり事。
リスクを選ぶか、安心を選ぶか。その選択は、オーナー自身に委ねられているのだ。

岡村潤平
ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル株式会社 
ユーザーサポート企画部ジェネラルマネジャー
1989年入社。パリダカを中心とする海外ラリー向けエンジン、スーパー耐久、GT300用などのモータースポーツ用エンジンを担当する。2000年からは、商品の開発を担当し、エンジンチューニングメニューから、シャシー系パーツ、コンプリートカーまで幅広く担当。2008年1月、ユーザーサポート企画部に異動し、NISMOクラブスポーツパッケージの開発に携わる。