ニスモ・チームかく戦えり
序盤3戦を終えて


スーパーGT Rd.1 鈴鹿・本気バトルのニスモ・チーム
デビューウィン、最強のGT-Rの期待にニスモはどう応えたのですか?


ラウンド1の鈴鹿では、周囲の新型GT-Rデビューウィンの期待に対し、正直プレッシャーはありました。
その後のシリーズを戦う上で、気持ちとしてはできるだけ性能調整のウエイトを積みたくない。だけど、鈴鹿で新型GT-Rがデビューし、それに対してのお客さん、メディア、スポンサーの方々の期待を見るとね、なんか手を抜いたような走りをするわけにはいかないですよ。そういう中で、22号車(モチュール・オーテックGT-R)も23号車(ザナヴィ・ニスモGT-R)も金曜日から、テストをしてきたそのとおりに走ってくれて、予選もかなりいい感じで。それで、決勝もご存知のとおり。2台がバトルやって1-2フィニッシュのデビューウィンでした。
23号車と22号車に、レース中の調整の余地なんかないですよ。本当に調整というか、チームオーダーも含めてそんな指示を出してるんだったらね、本山選手と柳田選手がね、あんな激しいバトル、そんなことしませんよ。もしチームオーダーを出していたなら、もうちょっと安全なストレートで「どうぞ」ってやってますよね。あれって本当に2台が同じマシンだし、ドライバーも非常に近いレベルでいて、なるべくしてああいう風になっているんですけどね。あれは本当に一所懸命バトルをやってました。だから、あれはあれでよかったと思います。
本気で調整するつもりであれば、終盤2位走っていた22号車に「下に下がれ」と指示する手もあったんですよ。「ニスモは調整をやるのでは…」と、みんな思ったでしょ。そうすれば性能調整を受けないんだから。でも、ファンの気持ちを考えたときに、1-2でね、当然走り切らなきゃまったく失礼だし、あんなところでズルズル下がったら。それで、タイヤも厳しかったのも事実だったので、1位で走っていた本山は、後とのタイム差を見て走ったところはあったけど、そのままゴールしたんです。


スーパーGT Rd.2 岡山・想定外!?の2連勝
23号車は重くても速かったが、タイヤチョイスが違っていたのですか?








ラウンド2の岡山から新型GT-Rに課せられた性能調整が50kg。対するトヨタのSC430が40kg、ホンダのNSXがゼロっていう決定でした。鈴鹿で優勝した23号車でいえば、優勝とポールポジションのウエイトハンデも合計して105kg。22号車も90kgという状態だったんで、この先考えたら、2台とも9位以下になって、20kgを下ろそうというつもりで、岡山に行っていました。本当はね。何ならボクの作戦書見せてもいいですけど(笑)。
それで今回はウエイトハンデを下ろそうと。ウェイトを20kg降ろせて、ポイントが最も多い9位を狙ってはいますが、各車拮抗していますし、正直言って2台とも重たいので一生懸命走っても9位は結構大変と思っていました。それでも頑張って身軽になって富士に望もうということだったんです。
ところが、これもたまたまなんですけど、23号車のほうは持ち込んだタイヤが、岡山のサーキットに合っていました。23号車は特に重かったのでこれまで使ったことのある実績のあるタイヤを選んでいます。そしてセットアップも含めて、非常に上手に出来ていて、かつブノワが物凄くいい走りをしました。
22号車と23号車は、タイヤが違います。それは、本当は一緒にしたほうがいいのかもれしれないっていう部分はあるんですけど、それって、せっかく2台でやっていて、必ず当たりになればいいですけど、2台とも外す可能性もありますので、敢えて変えている所もあります。あとドライバーの好みもあるので、多少違うところもあります。
23号車に履いたタイヤが、今回の岡山のコンディションにバッチリだったんです。金曜日の練習から結構速くて、「アレっ? 速いな」と。
金曜日の練習走行の終わりっていうのは、次の日の予選に備えてニュータイヤでアタックの練習をします。スーパーラップというのは、アタックの2周目のタイムを取るわけですよ。ですから、何ラップ目で速く走れますかじゃなくて、そのアタックラップの2ラップ目でベストタイムが出るかどうかなんです。そういういう見方で、金曜日の各車のタイムを見ていると、ブノワだけが早めのラップでいいタイムを出しているわけですよ。その後のラップではちょっと重いからダメで、1号車のNSXの方が速いです。でも、2ラップ目ならブノワがベストタイムを出していて、他車はまだ速くないんですよね。
これはもしかしたら行けるんじゃないかと思いましたね。
スーパーラップに残れたら、4位とか5位とか行っちゃうんじゃないかな、と思っていったら、午前の予選は本当に4位に入りました。で、まぁ、スーパーラップも4位か、5位かなと思ったら、何とポールポジションになっちゃったというわけです。スーパーラップに残っただけでもスゴイと思ったのに…。
あれは、クルマのセットアップ、タイヤのチョイス、それからブノワのすごい走りっていう、その3つがドンピシャでした。だから、1コーナーをブノワがクワーッと行った瞬間に「あっ、これはタイムが出るかもしれない…」と思いましたね。
皆さん、柔らかいタイヤを23号車は選んでいたとか書いてあるんですけど、それは間違いです。その硬い柔らかいでいくと、むしろみんなより硬めだったんですよ。他のGT-Rよりも。ただ、タイヤのウォームアップっていうか、タイヤの暖まり方が結構よくて、他のGT-Rよりもですね、それもコンディションでたまたまではあったんですけども。
そういうのが、ありえないって事というか、すべてが100%っていうのはなかなかないんですけど、この間の岡山の23号車でいくと、すべてが合っちゃったんですね。
決勝はポールポジションからのスタートなんですけど、後にいる1号車NSXのほうが軽いし、それからレースラップとしては速いってわかっていたんで、ブノワには抜かれたら終わりだと伝えていました。抑え切れば、勝ち目があるかもしれない。そうしたら、本当に抑えてくれて、相手が多少自滅してくれたのを含めて、ああいう結果になったんですけども。本当に重くて、リストリクターも若干絞られている中で、よくやってくれましたよね。
車重が重くてもそこそこ走れたのは、さっき言った三拍子が揃ったのもあるんですけども、岡山国際サーキットはあまり直線がないわけですよ。いわゆるストップ・アンド・ゴー的なサーキットじゃないから、いつも曲がっているみたいなコーナリングのサーキットなんで、ドンピシャにセットアップとタイヤが合っていると、そこそこ走れる。そういうサーキットなんですね、岡山は。そういうのがうまく重なって、上手くいっちゃったのが23号車です。
22号車は予選6位で、重いなりに走ってくれていたんですけども、ちょっと途中でアクシデントになって、遅れました。ただまぁ、最初言いましたようにウエイトを下ろすというつもりでいましたので…。15位という順位はともかく、ハンデウエイトは下ろせたんで結果的には予定どおりです。

Photo: Takahiro Masuda>R-WORLD


第3回へ続く。