4月4日、驚くようなニュースが飛び込んできた。

なんと、今年のニュル24時間レースに水野和敏が率いるGT-R開発チームがエントリーするという。

日産のモータースポーツ活動はNISMOが窓口となって行われるのが、これまでの通例だった。しかし、今回は日産自動車のGT-R開発チーム独自の参戦ということらしい。あらゆる意味で異例づくめの日産GT-R、そのモータースポーツ活動も例外ではなかった。

ニュル24時間については、07年のGT-Rデビュー当初より期待されていたモータースポーツイベントだった。ニュルで鍛えたGT-Rが24時間レースでどんな戦いを見せるのか多くのファンが待ち望んでいたレース。はたしてどんな結果になるか注目したい。

既に、マシンのシェイクダウンも終了した模様で夜間テストまでこなしているから驚きだ。

気になるマシンだが、サーキット走行をターゲットにした「Club Track edition」がベースとなっている。下の水野コメントにもあるように基本的にはノーマルだが、注目したいポイントは以下の5点だろう。
■フロントリップスポイラー(CFRP製):空力改善
■リアスポイラー(GTウィング風):空力改善
■リアトランクスポイラー(独特な形状):空力改善
■新に開発された鍛造大型ブレーキキャリパー
■10Jに拡大されたホイール

もうひとつ、気になる水野コメントは「現在は7分20秒を切るような車に成長してきました」という点。正式には発表されていないが12年モデルで7分20秒を切ったのかも知れない。


【水野和敏コメント】
日頃、このNISSAN R35 GT-R、皆さまのご愛顧のおかげで、発売以降4年経ちここまで成長する事ができました。この4年という時間を機に、ひとつの区切りのイベントとして、それから将来の投資として、今年は新しいことをひとつやろうと思っています。

それについてこれからご紹介したいと思います。
発表発売以来、4年間経ち07年モデル発表の7分38秒というタイムから、現在は7分20秒を切るような車に成長してきました。もちろんGT-Rは今後5年以上、この形で進化をしていくつもりですし、その中でますます性能を上げていくつもりです。性能向上と同時に凄く大事なことは、上げた性能に対して、皆さまに常に信頼耐久性を保証していかなければならないという点です。そのために、今回レースに参戦しより加速度的な耐久試験をやって、今後の性能向上に備えていくと、こういうひとつの開発のステップとしてニュル24時間レースの参戦を決めました。

より速く、より車に負荷がかかる、こんな条件をつくるために24時間レースに出る。24時間レースを完走することによって、5年先の車の性能進化に対する耐久信頼性を確保するために参戦します。2つ目は、我々チーム自身が成長しなければいけない。私がいつも言うように、車の進化というのは、その車を開発し続ける人間の進化でもあります。人間が進化しなければ、車は進化しない。そういう意味でチーム全体が24時間レースを通し、極限の車の性能開発に挑む。その結果、ひとりひとりの人間に開発のテーマ、開発の鍛えることの道筋、こういういったものができてくる。これをつくるために参戦します。それからもちろん、3つ目は皆さまだってニュルで育ったGT-Rが、ニュルのレースに参戦する。こういった期待と希望があると思います。この3つを叶えるために07年からすでに考えていた構想ですが、GT-Rで24時間レースに出る、しかも、日産系のレース会社であるNISMOが出るのではなく、GT-R開発チームが出て、車と自分とファンの期待を背負って活動する。こういったことをやってみたいと思っています。

このGT-Rのスペックについて少しご紹介したいと思います。基本的には、先程言いましたように、5年先の性能進化に対して信頼耐久性をとっておくということですから、エンジンもミッションもサスペンションもすべてノーマルです。ノーマルでなければいけない。あえてレース用に改造したというのは、もともとGT-RがClub Track editionというサーキット専用パッケージを持っていますから、それをベースに将来、性能進化で予想されるメカニズムの変更。それから24時間レースのレギュレーションに対応するための改造。こういういった改造を施してあります。クルマの具体的な説明をしますと、まず、フロントなのですがこのフロントダウンフォースを増やすためにノーズ部分を少し空力改善しています。エンジンはノーマルです。それから、サスペンションもノーマルなのですが、タイヤのロードホイールの幅を9.5Jから10Jに変更して、サスペンション、タイヤの剛性を上げる。こんな細工をしています。それから中身は基本的にはClub Track editionと一緒です。ただ、ロールバーであったり、ガソリンタンクが24時間レース用の規定に合わせてあります。特にガソリンタンクは120Lという容量に替えてあります。後ろについては、空力ということでリヤウイングを生産品から仕様を変えています。こういった空力パーツも将来、このGT-Rのなかにきっと生きていくことと思います。ブレーキについては、新しく大容量の鍛造型。鍛造で造ったキャリパーを使っています。あと基本的なスペックは、Club Track editionとほぼ同一の仕様となっています。