毎年恒例のニスモフェスティバルまで、あと1ヶ月をきった。今年は、どんなマシンが出てくるか。
そこで、GTR-WORLDが注目するマシンをご紹介しよう。
第1回目は、この2台。

1972スカイラインHT GT-R

KPGC10
1972年TS仕様
スカイラインHT GT-R

ワークス仕様のスライドバルブのスロットルを搭載し、ハコスカの最終期に活躍したセミ・ワークス仕様。来歴が明らかで現在も走行が可能な当時もののレーシングGT-R

Text: GTR-World.net
Photo: GTR-World.net




1971年にサーキットに登場したハードトップ(HT)のスカイラインGT-R。それまでの4ドアGT-Rの操縦性と空力特性を改善するため、ホイールベースを7㎝短縮した2ドアボディを採用した。センターピラーのないハードトップながら、ボディ剛性は当時としては高かったという。エンジンは4ドアGT-Rから受け継いだS20エンジンを搭載。ワークスマンシは、4ドアの時代からすでにルーカスの機械式インジェクションとスライドバルブを採用し、最高出力は250psに達していた。前後のフロントスポイラーとオーバーフェンダーを備えたワークスGT-Rの精悍な姿は、当時の若者の憧れだった。
ワークスチームとしてのGT-Rの活躍は、1972年10月9日の富士マスターズをもって終了することになったが、その後もプライベートチームはGT-Rを走らせていた。その中の1台がこのゼッケン#52のGT-Rである。当時の日産系ガレージ「スクーデリアニッサン」でホワイトボディから製作されたこのマシンは、セミ・ワークスと呼べるもので、有力プライベーターにだけ供給されたワークス仕様のスライドバルブのS20を搭載している。ワークスGT-Rのほとんどは、レース後に廃棄されてしまったというので、今となっては当時のマシン作りを垣間見れる貴重な1台だ。
昨年もニスモフェスティバルに参加しているこのGT-Rは、1973年の富士1000kmレースなどに参戦した後、長い眠りにつくことになったが、情熱ある現オーナーのもとでレストアされ見事に甦った。さらに今年はS20エンジンをオーバーホールしたので、よりクリアな当時のレーシングサウンドが聞けるだろう。




1998JGTCペンズオイル・ニスモGT-R

BCNR33
1998年全日本GT選手権GT500仕様
ペンズオイル・ニスモGT-R


ドライサンプエンジンを採用し、ステアリングギアボックスはエンジンの上にドラスティックに変化しチャンピオンを獲得した98年モデル

Text: Motor Magazine
Photo: GTR-World.net




96年のGT選手権で、ニスモはそれまでの発展型としてR33ベースのGT仕様をデビューさせる。この年のライバルとしてマクラーレンF1GT-Rが登場。ニスモ、ホシノレーシング、ハセミモータースポーツは苦しい闘いを強いられ、毎戦空力をモディファイするなど地道な努力を繰り返し、マシンを熟成させていく。
この年までのGT仕様は、エンジン的にはレギュレーションでリストリクターの径が変わったりした以外、グループA仕様をベースにしたもので大きな変更はない。パワー的には450ps~500psオーバー。ミッションはシーケンシャルの6速。デフには市販GT-Rと同じアクティブLSDが使われている。
97年、エンジンをドライサンプとして搭載位置を低くし重心を下げた仕様をデビューさせた。この年のリアウイングの変化は激しく、シーズン途中から3次元形状をした大型ウイングを投入。ダウンフォースを稼ぐための工夫はシーズンを通して行われた。しかし、あくまでも従来の発展型としてのモディファイに留まるものだった。
そして、98年仕様となったR33GT-RベースのGTマシンは、97年に登場した最大のライバルであるNSXに対抗するために大きな進化を遂げることになった。
エンジンはクランクシャフトを変更しロングストローク化。排気量が増えて中低速域のトルクアップを図っている。さらにミッションの搭載位置を後方にずらして重量配分をリア寄りへと改善している。エンジンの変更と共に、ブレーキは水冷キャリパーを使用し、さらにABSを得てコーナー進入でのアドバンテージを得ることに成功した。
こうして改良された性能をより発揮させるために、空力面とボディ剛性が大幅に見直された。98年仕様の最大の特徴はこの空力デザインにある。
ドラッグを減らしつつダウンフォースを得るために風洞で徹底的にデータを取り、97年までとは全く違った挑戦的なスタイリングで登場。
ドラッグを減らすために、ホイールアーチ後方のオーバーフェンダーをなくしホイールハウス内の空気の排出をスムーズにできるようにしたデザインは、重いイメージのあった97年モデルと違い、明らかに軽快な雰囲気へと変わっていった。
フレームワークも空力特性同様に大きく進化し、サスペンション取り付け部やダンパー取り付け部、エンジン、ミッション、デフのマウント部といったボディへの入力部分が97年仕様よりもさらに強化され、ロールケージの入れ方もより剛性を出しつつ重くならないように改良されている。
その結果、ペンズオイル・ニスモGT-Rは、E・コマス選手が98年のドライバーズチャンピオンに輝いた。