破損前オイルシール


破損したオイルシール


アウトプットシャフト破損
「R35 GT-Rのミッションは弱い」、あるいは「07モデルはミッションがネックだ」というような風評をよく聞く。

その根拠となっているのが、6速ある内の奇数段(1、3、5速)ないしは偶数段(2、4、6速)のギヤにシフトできなくなるというトラブルだ。R35 GT-Rのデビュー直後に発生したこのトラブルは、これがソフト的な問題だったのか、あるいはハード的な問題だったのかは不明だった。いずれにしても修理ではなくミッションのアッセンブリー交換だったことが妙な噂の元になった。この話の広まりとともに「ミッションが壊れた」から「ミッションがブローした」に変わっていったのである。通常「ミッションブロー」と言えば、機械的な破損を意味する。このため、R35 GT-Rのミッションは歯車が壊れる、あるいはシンクロ等が破損するようなイメージが広まってしまったようである。

しかし、実際には歯車が壊れるようなハード的なトラブルは今のところ見たことがなく、奇数段もしくは偶数段がシフトできないというものばかりだ。

このトラブルについては、今年になってオプション誌と全国のチューナー有志によって、その原因が明らかにされた。トラブルの原因となっていたのは、奇数段と偶数段を受け持つ二つのクラッチを駆動する油圧システムのオイルシールだったのである。どちらかのクラッチのオイルシールが破損することで、油圧が掛からなくなり奇数段、もしくは偶数段がシフトできなくなるというわけだ。

ところが、日産自動車からはこのGR-6型トランスミッションの内部補修部品はデリバリーされていない。このため、アッセンブリー交換となるわけだ。当然、オイルシールの部品供給もないので修理ができなかった。チューニングカーであれば、保証は受けられない。高額なミッションアッセンブリーは自腹で持たなければならない。

このため、岡山のサンラインレーシングがオイルシールを独自に開発。これによって、このトラブルについては、約70万円で修理が可能となったのである。さらに、汎用車両診断機カーマンの登場により、ミッションのIDナンバーの登録や、クラッチ調整なども、これまでNHPCでしかできなかった作業が、チューニングショップでも可能になった。

一方、ゼロヨンなどが盛んな海外では、日本で起きているトラブルの他に、アウトプットシャフトのトラブル等が報告されている。既に対策部品もかなりのアイテムが開発されているほどで、フルシンクロの強化6速ギヤセットや、強化アウトプットシャフトなどもラインナップされている。これで機械的なトラブルに関しては、ほぼ全てが修理可能な状態になった。

今回は、MCRの協力でサンライン製のオイルシール交換作業お届けしよう。
この2社の他にもGT-Rを扱っているチューニングショップでは、ミッションオーバーホールが可能になってきた。もはや、保証を頼りにする時代ではなくなったと言えるだろう。

■取材協力
MCR
www.mcr-ltd.com
サンライン
www.sunline-racing.com