tokubetu
 R35 GT-Rの2000キロにおよぶナラシ走行も無事終了し、無料の1000キロ点検を受けることにした。新型GT-Rの場合、特殊な車両ということもあり、その内容は通常の日産車とは少し異なる。いわゆる普通の日産車に対して行う通常点検項目に加え、GT-Rだけの特別点検項目が加えられているのだ。
 
 まず通常点検項目とは
・タイヤの空気圧チェック
・エンジンルームのチェック(水やオイル)
・下回りチェック

という簡単なもの。

samezu
 これに加えたGT-Rだけの特別点検項目とは
・ホイールアライメント調整(高精度アライメントテスターによる測定・調整)
・エンジンのセッティング(左右バンク空気量調整)
・トランスミッションセッティング(クラッチクリアランスやシフトフォーク位置の調整)

という特別な機器を使った調整を行うもの。このため、NHPC店(日産ハイパフォーマンスセンター)でしか行えない作業なのだ。

 今回、点検をお願いしたのはプリンス東京鮫洲店。通常点検と特別点検の他に、エンジンオイル、ミッションオイル、前後デフオイルの交換もお願いした。ただしオイル交換は無償点検項目に含まれていないので、こちらは有料。そして担当するのは、もちろん日産GT-Rの専門教育を受けた日産認定テクニカル・スペシャリスト(通称:認定T/S)の横山さんだ。

-オイル交換-
 まずはクルマをリフトに乗せオイル交換から。前後のアンダーカバーを外すのだが、これらを固定しているボルトやクリップの量が半端じゃない。自分でやるとなると、かなり面倒くさい作業だ。エンジンやミッション、デフなどが丸見えの状態にして作業開始。

 エンジンオイル編
 最初に抜いたのはエンジンオイル。意外にも交換作業は普通だった。今までのクルマと同様にドレンボルトからオイルを抜き、最後に注油口からオイルを入れるだけ。手間をいとわなければ自分でもできる内容だ。噂ではセミドライサンプなので専用の機械で強制的にオイルを抜かなければならないことになっていた。さらにコンサルトⅢでオイルレベル量をリセットし車両側にメンテナンス記録が残るはずだった。オイルレベルのリセットもメーター脇のボタンでリセットすればよい。メンテナンス履歴も従来通りメンテナンスノートに記載する方式。ちなみに、抜いたエンジンオイルは比較的きれいだった。

 前後デフオイル編
 この作業も従来のクルマと同様で、特殊なものではなかった。ただし、デフオイルは粘度が高いので、専用のポンプがないと作業困難だ。抜いたフロントのデフオイルにはかなりの金属粉が含まれていた。写真にもあるようにドレンボルトの磁石には金属粉がこってりと付着! これには少々驚きだった。オイル交換をお願いして正解だと思った瞬間だ。一方、機械式LSDが組み込まれているリヤデフのオイルが比較的きれいな状態だったのは意外。前後ともに新品のオイルを注入し、メンテナンスノートに記載して終了だ。


 ミッションオイル編
 ミッションオイルの交換も今までのクルマと同様の手順だ。ただし、ミッションオイルは、トランスファー、湿式クラッチと共用しているため9.5リットルと多めだ。手順も初めは多めに入れ、エンジンをかけミッションオイルを温めてから適正量に調整するというもの。写真のようにドレンボルトは2重構造となっている。最初にストローのようなボルトを入れる。これがレベルゲージの代わりで、オイルを温めた後、2番目のドレンボルトを外すとオイルが適正量になるわけだ。手順さえ知っていれば、自分でもできてしまうが「特殊なクルマですし、できればNHPCに持ってきてください」と横山さん。



-特別点検-
 さて、いよいよGT-Rだけの特別点検だ。ココからは、NHPC店にしか配備されていない特殊な機器が登場する。コンサルトⅢの登場だ。コンサルトとは、日産独自の自己診断テスター。特別点検項目であるエンジンセッティングとトランスミッションセッティングにはこのコンサルトⅢが必要なのだ。まずはエンジンをかけ、コンサルトⅢを運転席脇のコンサルト端子につないで無線でパソコンと通信させるのだ。

 エンジンセッティング編
エンジンの左右バンク空気量の調整は意外なほどあっさりしたものだった。まずパソコン側で空気量調整の指示をすると、自動的に左右の空気量調整を行う。さすがは現代のハイテクマシン。一昔前のツインキャブ調整のように職人的な技と勘は必要ない。すべてはコンピューターが自動調整してくれるのだ! 5分も待てば空気量調整は完了する。

 ミッションセティング編
続いてミッションセッティング。こちらも同様にパソコンから指示を出すだけだ。後はクルマが勝手に調整してくれる。リヤタイヤ脇で耳を澄ますと、ギヤをセレクトする音が聞こえてくる。一同、スゲェーと感動している間に作業は終了してしまった。これで、クラッチクリアランスとシフトフォークの位置は調整されたとのことだ。なにやら、狐につままれたような感じの作業だった。
 
 アライメント調整
 最後にアライメントチェックだ。NHPC各店舗にはレーザー光線で計測する正確なアライメントテスターが配備された。まず、各ホイールに反射板を装着する。その後、クルマを前後に僅かに移動させ正確に機器が装着されているかをチェックする。ところが、この作業がうまくいかない。何度もやり直すのだがその度に全く違う値が出てしまい、結局この作業だけで3時間近くが経過。正確な計測器だけに装着にも正確さが要求されるのだろうが、少々問題ありと感じた。さて、なんとか基準値内に納まり、ようやく本計測を行った結果、アライメント調整の必要はなし。横山さん、お疲れ様でした。。。



 以上で、1000キロ点検+オイル交換は終了。オイル交換にかかった費用は、工賃とオイル代でしめて14万5750円。作業は1日仕事だった。下の写真で左が、今回交換したオイル。モービル1はエンジン、黒い缶がGT-R専用のミッションオイル。そして小さな缶がGT-R指定のカストロール・ピアレーシングのデフオイルだ。ちなみに今回は交換しなかったが、右の写真がGT-R専用のブレーキフルード。きめ細かなABSやVDC制御のために、特にサラサラなオイルなのだとか。GT-Rというロゴがそそられる。
 
 さて、作業の間、GT-Rの納車式も行われていて、その度に横山さんは作業を中断。新オーナーにGT-Rの取り扱い説明を行っていた。現在、横山さんのような認定テクニカル・スペシャリストは各NHPC店に1人しかいない。12月に納車されたクルマが点検に戻ってくる1月には、スーパーメカニックは今以上に忙しくなるだろう。オーナー諸兄、1000キロ点検は余裕を持って早めのご予約を!!