さすがに、ニュルブルクリンクを7分38秒で走るだけあって、サスペンション系の剛性アップにもぬかりはない。フロントのサスペンションメンバーはパイプ一体構造をとっており、剛性を高めるための工夫が見られる。ボディとの結合ポイントも6点となっている。リヤサスペンションメンバーもフロンと同様にパイプ一体構造となっていて、結合ポイントも6点だ。その造りは、レースカーのサスペンションメンバーのようなイメージだ。

ステアリングラックのマウント方式も従来のものと大きく変更され、見た目にも剛性が高そうな取り付け方法をとっている。まさにミリ単位での操作が可能なのでは?と思わせる造りだ。また、リヤサスペンションリンクにも、一部ピロボールが採用され横剛性の向上とスムーズな動きを狙ったことが伺える。

Text: Shunsuke Takeuchi
Photo: GTR-WORLD.net




メーカー泣かせのダンパーか?
 フロントのダンパーユニットを見ると、人の脚のような形をしたブラケットが気になる。水野氏によれば、片輪あたり約5トンの入力があるというから、この部分の強度確保は重要なポイントとなるはずだ。というわけで、このブラケットは冷間鍛造というコストのかかる方法で造られている。アフターマーケットのダンパーメーカーが造ろうした場合、このブラケットがネックになる可能性が高い。
一方、リヤのユニットは標準的な形状をしている。前後のスプリングを見ると、かなりバネ定数の高そうなスプリングを使っており、ちょっと前までの強化スプリングといった感じだ。

 さて、ダンパーの製造が難しいとなればスプリングをよりレートの高いもの変更し、車高を下げたいという声が聞こえてきそうだ。しかし、1G状態でのバッファークリアランス(バンプラバーに当たるまでの縮み側のストローク)は、10mmから15mmとのこと。つまり車高を10mm以上下げようとすると、常にバンプラバーに当たった状態となり、乗り心地が悪くなるばかりか操安性も悪くなることは間違いない。バンプラバーを切るか、短いものに変えるという手もあるが、5トンの荷重を受けるために装着されているバンプラバーだ。非線形レートのそれなりに高価なものが装着されているに違いない。
 ダンパー自体は単筒構造。ビルシュタインと共同開発したという電子制御で減衰力を変化させるもの。つまりアクティブサスのキモとなる部分だ。車速や、前後G、横G、上下Gなど様々な車両データーからアクティブに制御されているシステムである。開発担当者によれば、仮にスプリングのレートを変更した場合、入力やストロークが変わってしまいマップ上の予期しないデーターを読みにいってしまう可能性があり、したがってバランスは大きく崩れるだろうとのことだ。
 いずれにせよ、サスペンションのチューニングは現段階では難しそうだ。可能かどうかは別として、アクティブ制御も含めたチューニングをするか、アクティブ制御は諦めリジットなチューニングをするかのどちらかだろう。