37回目を迎える真夏の鈴鹿1000kmは、数々の名勝負を生んできた。今年もまた、大きな感動を呼ぶ、卓越した走りとクリーンなバトルがファンを魅了した。

Text: Katsuhide Sugino
Photo: Takahiro Masuda



13時。豪雨の昨日と打って変わり、ドライのコンディションでフォーメーションラップがスタート。珍しく涼しいコンディションがドライバーとマシンの負担を軽くしている。

ゆっくりとしたローリングラップの後、173周・1000km先のゴールを目指して全車フルスロット。ホールショットを奪ったのは、ポールの#22モチュールオーテックGT-R。その後に#17リアルNSX、#1 ARTA NSX、#12カルソニックGT-R、#36ペトロナスSC430、#35宝山SC430、#23ザナヴィニスモGT-Rとグリッド順で続く。

序盤、#22モチュールオーテックGT-R、#17リアルNSX、#12カルソニックGT-Rの3台が抜け出し接近戦を展開。8周目には早くもGT500のトップ集団がGT300に追いつく。13周目を終了したところで、雨粒がポツポツ落ち始める。グランドスタンドでも傘が開き、西コースでは雨になるものの、本降りにはならない。結局、雨は次第に上がり、天気予報どおり天候は回復に向かう。

16周目、スタート前からトラブルが続出していたNSXにまたしてもトラブル発生。#1 ARTA NSXがシケインでスローダウンしそのままピットロードに滑り込む。リアホイールのセンターロック緩みが原因。すぐに締め直してピットアウト。NSX勢は不安を抱えての戦いになるのか?

しかし、不運続きのNSXの中でも#100レイブリックNSXは違った。ピットスタートからの追い上げが凄まじく、20周目にはGT300全車をパスしてGT500の最後尾を走っていた#3イエローハットGT-Rをも抜いた。その勢いは止まらず、#100レイブリックNSXは37周目についに6番手まで上昇。波乱の1000kmレースの主役になりそうな予感。

250km・44周目のオーダーは、#22モチュールオーテックGT-R、#6ENEOS SC430、#17リアルNSX、#36ペトロナスSC430、#100レイブリックNSX、#23ザナヴィニスモGT-R、#24ウッドワンGT-R、#12カルソニックGT-R、#32の順。

トップを走る#22モチュールオーテックGT-Rに、#6ENEOS SC430が追いつきバトルを展開。49周目、#6 ENEOS SC430の飯田章がそれまでレースをリードしていた#22モチュールオーテックGT-Rの柳田真孝を1コーナーでパス。はじめてGT-Rがこのレースの主役の座をSC430に渡す。

15時すぎの折り返しの500km・87周終了時の順位は、#100レイブリックNSX、#12カルソニックGT-R、#23ザナヴィニスモGT-R、#36ペトロナスSC430、#22モチュールオーテックGT-R、#24ウッドワンGT-R、#17リアルNSX、#3イエローハットGT-R、#35宝山SC430、#6ENEOS SC430の順。ピットインのタイミングもあるが、ピットスタートした#100レイブリックNSXがトップに立つとはだれもが予想だにしない展開。

3番手争いの#23ザナヴィニスモGT-Rと#36ペトロナスSC430のバトルは、接触ギリギリの激しさ。最終コーナーから#23ザナヴィニスモGT-Rのインを突いた#36ペトロナスSC430が、コンクリートウォールに擦り付けんばかりのラインでストレートで並びかけ、1コーナーの飛び込みでパッシング。クリーンでハイレベルな戦いにスタンドも沸く。

100周目。奇跡の快進撃を続ける#100レイブリックNSXは、ライバルを抑えてレースを支配し始める。GT-R勢では、#23ザナヴィニスモGT-Rが3番手で追撃。

#22モチュールオーテックGT-Rも優勝を狙える位置で周回を続ける。115周で#22モチュールオーテックGT-Rがピットイン。ドライバーをシュワガーに交代してコースに戻すが、118周に入ったところで、なんとリアカウルが浮き上がるトラブルが発生。オレンジボールが出される前に、シュワガーはピットインしてガムテープで修復。すぐにコースに復帰するが、優勝争いから遠のく。

しかし、ここから今度はカルソニックGT-Rの追撃が始まった。今季、不運なトラブルで成績の残せていない#12カルソニックGT-Rが、#100レイブリックNSXを追う。残り300kmの時点で#100レイブリックNSXとの差は11秒。トップの#100レイブリックNSXは#12カルソニックGT-Rとの差を見て逃げる展開。#12カルソニックGT-Rがラップを縮めると、#100レイブリックNSXも逃げを打つ。しかし、#12カルソニックGT-Rがジワジワと差を詰め、残り37周の時点で#100レイブリックNSXに4秒877差と迫る。

137周目。先に動いたのはトップを走る#100レイブリックNSX。ピットインし、フロントタイヤのみを交換して47秒6でピットアウト。ドライバーは井出に交代。

次周、今度は#12カルソニックGT-Rがピットイン。ここでピット作業で#100レイブリックNSXの前に出られる可能性が出てきた。インパルのピットクルーは、43秒の早業でマシンをコースに送り出す。ドライバーは松田からS・フィリップに交代。

果たして、#12カルソニックGT-Rは#100レイブリックNSXの前でコースに復帰することに成功。しかし、アウトラップのタイヤの冷えた状態では、1周前にコースインした#100レイブリックNSXに追いつかれる。渾身のアタックを続けるフィリップの頑張りで#12カルソニックGT-Rはリードを保つ。

だが、このレースで一番の走りをする#100レイブリックNSX井出は速かった。残り25周になったヘアピンで急接近。150周目の2台の差はわずか0.42秒。サーキットは2台のマッチレースに沸く。

テールtoノーズの攻防は日が落ち始めても続く。ところが、ラップタイムが安定している#12カルソニックGT-R に対し、#100レイブリックNSXはタイヤが辛くなってきたのか徐々に遅れ始める。ついには、後に続いていた周回遅れの#38にも前に出られてしまう。ここで勝負あり。

19時2分。すっかり暗くなった鈴鹿サーキットのゴールラインを青いGT-Rがトップで駆け抜けた。カルソニックは2年ぶりのSUPER GT勝利。奇しくも前回も鈴鹿1000kmだった。5台のGT-Rは全車トップ10に入る活躍。GT-Rの耐久マシンとしての性能と信頼性の高さを証明する1戦となった。







決勝レース 天候:晴 | コース:ドライ
GT500クラス/決勝結果
Pos. No. Car Driver Time/Diff. Laps Tire WH
112カルソニック IMPUL GT-R松田 次生
セバスチャン・フィリップ
5:56'31.327173BS

+1

2100RAYBRIG NSX井出 有治
細川 慎弥
松浦 孝亮
0'07.866173BS10
336PETRONAS TOM'S SC430脇阪 寿一
アンドレ・ロッテラー
カルロ・バンダム
0'34.598173BS30
422MOTUL AUTECH GT-Rミハエル・クルム
柳田 真孝
ドミニク・シュワガー
0'35.062173BS20
53YellowHat YMS TOMICA GT-Rロニー・クインタレッリ
横溝 直輝
0'41.833173BS

+1

66ENEOS SC430飯田 章
ビヨン・ビルドハイム
ロベルト・ストレイト
0'51.810173BS
724WOODONE ADVAN Clarion GT-RJ.P・デ・オリベイラ
荒  聖治
1'24.333173YH35
823XANAVI NISMO GT-R本山 哲
ブノワ・トレルイエ
ファビオ・カルボーン
2'00.744173BS55
938ZENT CERUMO SC430立川 祐路
リチャード・ライアン
1Lap172BS55
1035宝山 KRAFT SC430ピーター・ダンブレック
片岡 龍也
1Lap172BS30
1132EPSON NSXロイック・デュバル
平中 克幸
2Laps171DL
1218TAKATA 童夢 NSX道上 龍
小暮 卓史
4Laps169BS110
131ARTA NSXラルフ・ファーマン
伊沢 拓也
6Laps167BS
1425ECLIPSE ADVAN SC430土屋 武士
石浦 宏明
35Laps138YH20
1539DENSO DUNLOP SARD SC430高木 虎之介
アンドレ・クート
嵯峨 宏紀
40Laps133DL

+2

GT500 規定周回数:121

17REAL NSX金石 勝智
金石 年弘
塚越 広大
54Laps119BS5