2008年 第9戦FSW:決勝レポート
#12カルソニックGT-Rの賭けが吉と出た!


スタート前のダミーグリッドに小雨が降り出した。その時点でGT500のほとんどのチームは、浅溝のインターミディエイトタイヤを選択。しかし、#12カルソニックと#39デンソーの2チームだけがスリックタイヤのまま。ギャンブルに出た。

Text: Shin Inoue
Photo: TakahiroMasuda/GTR-WORLD.net



いったい、雨は降り続くのか、雨脚が強くなったりしないのか? それとも小雨のままで、走行ラインが乾いてきたりしないのか?

各チームの脳裏には、先日のF1最終戦ブラジルGPの最終ラップ・最終コーナーの出来事がよぎったに違いない。雨に翻弄されたレースは、最後のマシンにチェッカーフラッグが振られるまでわからないと…。タイヤの温まりを考慮してフォーメーションラップを2周した後、いよいよ最終戦のスタートが切られた。

それぞれのタイヤ選択に対する答えは、いきなり出てしまった。オープニングラップこそ、ほぼスターティンググリッドのまま戻ってきたものの、この時点での走行ラインは明らかにスリックタイヤに分があった。2周を終えて#22オーテックGT-Rがピットインしてスリックタイヤに交換したのを皮切りに、6周目までにほとんどのマシンがピットインしてタイヤ交換。

7周終了の順位は、最初からスリックタイヤを選択した#39デンソーSC430と#12カルソニックGT-Rに続いて、#23、#36、#24、#3となった。トップ2台と3位以下には1分8秒という大きな差がついてしまった。#39デンソーと#12カルソニックの差は、約6秒。3位以下も激しくバトルしている。

11周目、再び小雨が降り出し、グランドスタンドでも傘が開き始める。

ドライバーチャンピオン獲得の可能性が残っている#36ペトロナスSC430だが、13周目のストレートで#24ウッドワンGT-Rに並ばれ、1コーナーで5位に後退する。一方、ポイントランキング2位の#18TAKATA NSXはペースが上がらず、上位に上がってこられない。

15周を終了した時点での#39デンソーと#12カルソニックの差は1秒に縮まっている。#23ザナヴィも抜いて3番手を走行していた#24は、17周目にダンロップコーナー前でスローダウン。ドライブシャフトのトラブルで、ピットイン。

#39デンソーとトップを争っていた#12カルソニックは、18周目の1コーナー立ち上がりで前に出ることに成功。一気に引き離しにかかる。一方、#36ペトロナスは右リアタイヤのバーストで緊急ピットイン。タイトル獲得は絶望的になる。

ポイントランキング首位の#23ザナヴィは5番手を走行。22周目にピットインし、ドライバーを本山哲に交代。ガス給油の他、スリックタイヤ4本を交換して素早く送り出す。

しかし、28周目ぐらいから、急に雨脚が強くなってきた。たまらず、ニスモチームは#23ザナヴィを再度ピットインさせ、スリックから浅溝タイヤに交換する。

ライバルたちが次々とピットインしてドライバー交代しレインタイヤへ交換する中、トップを走る#12の松田次生はスリックタイヤのまま走り続ける。レインタイヤに交換したマシンが1分45秒前後のタイムをマークしているのに、#12カルソニックのラップタイムは1分50秒台にまで落ち込んでいる。

32周終了時に、#12カルソニックがようやくピットイン。タイヤを浅溝レインに代え、ドライバーをS・フィリップに交代。

66周レースの折り返し点、33周終了時のオーダーは、#12、#35、#1、#38、#6、#32の順。ピットインを遅らせたことによって2位・#35宝山SC430との差は48秒にまで縮まっていたが、#12の圧倒的なアドバンテージは揺るがない。#23ザナヴィは、この時点でポイント圏外の11番手を走行していたが、奇跡の逆転チャンピオンの可能性の残る#38ZENT SC430が激しく追い上げ、4位まで上がってきている。一方、#36ペトロナスと#18TAKATAは、それぞれ8位、10位と逆転はほぼ絶望的なポジション。

#38ZENTは追撃の手を緩めない。#35宝山、#6ENEOSの3台のSC430同士で2位を争う激しいバトルを展開し、ついに2番手に浮上。およそ35秒の差はあるものの、前を走るのは#12カルソニック1台のみ。#23ザナヴィが9位以下の順位で、#12カルソニックに何かあれば奇跡の逆転チャンピオンの可能性が現実のものとなりつつあったのだ。

#12カルソニックよりも1.5秒以上速いペースで追い上げる#38ZENT。しかし、30秒以上残った圧倒的マージンを利用して、慎重にレースを進める#12カルソニックの優位は揺るがなかった。#23ザナヴィのドライバーズタイトル獲得に向けての#12カルソニックの力強い援護射撃が続く。

60周目、トップ#12カルソニックと#38の差は26秒にまで縮まっているものの、残り周回数を勘案して#12カルソニックは49秒台のゆうゆうのクルージング走行に。

16時4分47秒。#38ZENTとの差は12秒にまで縮まったものの、#12カルソニックは悠々と今期2勝目のゴールを駆け抜けた。その瞬間、#23ザナヴィの本山哲、B・トレルイエの2008,年ドライバーズタイトルが確定した。


2008年SUPER GT全9戦でR35GT-Rは、#23ザナヴィが3勝、#12カルソニックが2勝、#3イエローハットと#24ウッドワンがそれぞれ1勝を挙げ、計7勝でデビューイヤーを飾った。




■ドライバーズチャンピオン・インタビュー

本山哲選手
日産の中心的車種に乗るという大きなプレシャーの中で、開幕戦できちっと結果を出してスタートできたっていうところが、今シーズン有利に進められた要因だと思います。オートポリスには、チャンピオンを決めるという決意を持って行きました。今だから言いますけど、ゴールした瞬間に正直「決まった!」と僕は勘違いしたんですけど…(笑)。
チャンピオンを獲得して、責任を果たせたということが大きいですね。GT-R自体ポテンシャルが高かったし、チームメイトにブノワを迎え、これ以上ない状態で走れました。その中で、各自がきちんとパフォーマンスを発揮すれば、必ず結果は出ると思っていました。

ブノワ・トレルイエ選手
シリーズチャンピオンを獲れて本当にうれしいです。SUPER GTのチャンピオンは初めてでしたので、よかったと思います。日産・ニスモが今年も僕を使ってくれ、チームメイトとして日本で一番トップの選手と組むことができて感謝しています。
サトシとはお互いのことをよく知っていますし、お互いを尊敬していますので安心して戦うことができました。チームのエンジニア、チーム全体でうまくいったと思います。シーズンスタートから非常にプレッシャーがありました。モチベーションが下がることもありましたが、ファンの皆さんが常に応援してくれたことに感謝したいと思います。



決勝レース 天候:小雨 | コース:ドライ&ウェット
GT500クラス/決勝結果
Pos. No. Car Driver Time/Diff. Laps Tire WH
112カルソニック IMPUL GT-R松田 次生
セバスチャン・フィリップ
1:57'09.62466BS10

+1

238ZENT CERUMO SC430立川 祐路
リチャード・ライアン
00'12.27066BS25
36ENEOS SC430伊藤 大輔
ビヨン・ビルドハイム
00'13.92766BS

+1

432EPSON NSXロイック・デュバル
平中 克幸
00'41.17766DL30
539DENSO DUNLOP SARD SC430高木 虎之介
アンドレ・クート
00'42.91566DL

+2

635宝山 KRAFT SC430ピーター・ダンブレック
片岡 龍也
00'58.89166BS
736PETRONAS TOM'S SC430脇阪 寿一
アンドレ・ロッテラー
01'47.06166BS55
825ECLIPSE ADVAN SC430土屋 武士
石浦 宏明
1Lap65YH

+2

923XANAVI NISMO GT-R本山 哲
ブノワ・トレルイエ
1Lap65BS80
1017REAL NSX金石 勝智
金石 年弘
1Lap65BS

+2

1122MOTUL AUTECH GT-Rミハエル・クルム
柳田 真孝
1Lap65BS25
121ARTA NSXラルフ・ファーマン
伊沢 拓也
1Lap65BS60
133YellowHat YMS TOMICA GT-Rロニー・クインタレッリ
横溝 直輝
2Laps64BS55
1418TAKATA 童夢 NSX道上 龍
小暮 卓史
2Laps64BS65
1524WOODONE ADVAN Clarion GT-RJ.P・デ・オリベイラ
荒  聖治
20Laps46YH

+2

GT500 規定周回数:46

100RAYBRIG NSX井出 有治
細川 慎弥
49Laps17BS10