「NISMO GT-R RC解剖」の最終回は、R35 GT-R S耐仕様のメカニズムで特徴的な部分を中心に紹介しよう。

まずはエンジンルームから。エンジンルームを覗くと最初に目に飛び込んでくるのが、エンジンルーム左側のバルクヘッドの取り付けられたNISMO製メーカープレートだ。プレートには、MODEL「NISSAN NISMO GT-R RC」、MODEL YEAR「2009」、CHASSIS No「R35RC-00T」と刻印されている。シャシーNoの最後には“T”と刻印されていることから、このクルマがテストカーであることが想像できる。近い将来には、コンプリートレーシングカーとして販売されるため、こうしたメーカープレートが取り付けられているのだろう。

【エンジン】
さて、肝心のエンジンは限りなくノーマルに近い。もちろん、S耐のレギュレーションに沿って造られたマシンだから当然といえば当然だ。ただ、ブーストは若干高められており、最高出力は500馬力前後とのこと。パワー的には物足りないような印象も受けるが、耐久レース仕様ともなれば出力向上は燃費とのトレードオフになる。そのあたりを考慮しての数値らしい。

ラジエター後方の冷却水のリザーバータンクは、純正のものからオリジナルのものに交換されている。また、このクルマがテストカーということもあり、エンジンルームにはデータ取得のための計測ハーネスが装着されていた。一方、エンジンルーム右側のバッテリースペースには、小型バッテリーの他、オイルキャッチタンクが設置されている。ブローバイガスはエンジン近くに置かれたセパレーターで分離され、キャッチタンクに貯める仕組みのようだ。また、ショックアブソーバーはビルシュタイン製の減衰力調整式が採用されている。ちなみに別タンク式ショックアブソーバーではなかった。






【ブレーキ】
ブレーキの性能向上には力を入れた跡がみられた。特にフロントのブレーキは、ブレンボ製モノブロック6POTキャリパーに420φ!!という見たこともない大径ローターの組み合わせだ。その冷却面にも手が入れられ、フロントリップスポイラーから導入した冷却風は、カーボン製のダクトを介してローターやキャリパーの冷却を行っている。

リヤブレーキの冷却にも配慮が見られ、サスペンションアームにはカーボン製のブレーキ導風板が取り付けられていた。これはR33 GT-R以降、Vスペックに取り付けられていたフロントブレーキ導風板と同じ原理のものだ。リヤに関しては、キャリパーはノーマルをそのまま使用している。


【クーリング他】
そのほか、主に駆動系の冷却面を中心としたチューニングが行われている。エンジンオイルクーラーはノーマルをそのままの位置で使用しているが、フロントバンパーの右側には新たにフロントデフオイルクーラーが設置されている。写真では見にくいが、そのフロントデフオイルクーラーの後ろ側には、小さなパワステオイルクーラーも装着していた。一方、リヤ側にはリヤデフオイルクーラーが装着され、更にダクトで冷却風を直接コアに当てるような構造となっている。ちなみにミッションオイルクーラーは装着されていない。リヤデフオイルを冷却すればOKのようだ。

タイヤはYOKOHAMA製の20インチのスリックをドライ用に。ウェット用は同じくYOKOHAMA製の20インチ溝付を使用する。サイズは前後同サイズを使う。このためABSやVDCなどの制御系は見直しがはかられているということだ。ちなみに、今年のスーパー耐久シリーズはYOKOHAMAタイヤのワンメイクとなっている。


以上のような内容で販売価格は2000万円程度というから、レーシングカーとしては安い部類に入るだろう。NISMO GT-R RCはグローバルで販売する。必ずしもレースユーザーのみが販売対象ではないそうだ。