スペックVの発売は、来年1月初旬の線が濃厚だ。既に、日産ディーラーに注文したという気の早い人もいるらしい。ところで、この1年、様々なスクープ情報や水野発言があった。スペックVに関する情報を総括してみた。
さらに、NISMOフェスティバル会場で最新情報も得ることができた。それもあわせて急遽お伝えしよう。

Text: Shunsuke Takeuchi
Photo: GTR-World.net



◇ 2007年10月24日 R35 GT-Rを発表
水野氏は1年後にスペックVを発売することを宣言。この時点でスペックVに関する水野発言は以下のようなもの。
1. サーキット走行専用のかなり特殊なクルマ
2. したがって、サーキットに置きっぱなしにするようなクルマ。
3. 防音・防振など快適装備はない。またオーディオ・エアコンについても装備しないような考えを見せた。
4. 非常にシビアなクルマのため、売り方も考えている。
5. ブレーキローターとパッドの交換だけでも300~400万円のメンテ費がかかる
6. 価格は、基準車よりも数百万円ほど高くなる予定。
7. 生産台数は世界規模で月20~30台程度
8. 日常的にGT-Rを楽しみたい人には基準車がいい。
9. 従来の「Vスペック」とはかなり位置づけの異なるクルマ

◇ スペックV水野発言(6月~)
ニュルでテストするスペックVのスクープ画像なども国内で見られるようになり、その全体像もより具体的なものとなった。その全体像とは

1. フロントリップスポイラーにブレーキ冷却ダクトの設置
2. リアスポイラー上部のカーボン化
3. 新デザインのホイール(6本スポーク)
4. カーボンブレーキシステム
5. カーボンバケットシート
6. マルチファンクションモニター周辺のガーニッシュやステアリングスポークにカーボン素材の使用

が、スクープ画像から読み取れるスペックVの変更点。その他、未確認だが現実味を帯びた情報が流れてきた。

1.エンジン出力の向上(530馬力と予想する国内メディアもあった)
2.車体の軽量化(100kgから150kgも軽量化されると噂された)
3.2シーター車である
4.スペックV専用タイヤが装着される
5.ニュルのタイムは7分20秒を切るほど速い

また、水野発言にもスペックVへの布石とも取れるような内容が語られるようになってきた。GT-Rデビュー当初、1740kgというGT-Rの車両重量に関して、国内の各メディアから「重い」という評価が多かった。これに対して、水野氏は「マルチパフォーマンススーパーカーとしては必要な重量である」と力説。同時に「重量物を車軸より下にレイアウトすることで、重量をグリップ力に生かしている」とした。実際、GT-Rのマルチユースを考慮すれば、雪道やウェット路面などでは1輪あたりの荷重が必要なことは理解できる。
ところが、この頃より水野発言の中には「もちろん、ドライサーキットのみを考えれば軽い方が良いに決まっている。しかし、マルチパフォーマンスとして考えれば、必要な重量」というようにただし書きがつくようになった。また、クルマそのものに対しても、「かなりシビアなクルマなので扱いにくい。売り方も検討中。正直、たくさんは売りたくない」というようにスペックVがかなりスパルタンなクルマであることを匂わせるようになった。
この頃、水野氏は「スペックVはニュルで20秒きってしまうかもよ」と意味深な発言をしている。

◇ 7月 十勝24時間レース
2007年7月、GT-Rが十勝24時間レースFIAクラスに参戦。NISMOでは、参戦の目的を9月に発売を予定していたスポーツパーツの最終テストとしていた。しかし、ベールを脱いだマシンには、スペックVと同じリップスポイラーや、ホイールが装着されていたことから、「実はスペックVのテストではないか?」とパドックでは囁かれていた。後に発売されたNISMOクラブスポーツパッケージには、リップスポイラーは含まれていない。また、明らかに試作品とは異なるブレーキ導風板が装着されているなど単なるNISMOパーツのテストとは思えないような不可解な点があったことも事実だ。ちなみに、この時に装着したタイヤはブリヂストン製のRE55Sという20インチのSタイヤ。当初は、これがNISMOパーツになるものと予想されたが、発売されたNISMOクラブスポーツパッケージに含まれたタイヤは、純正ブリヂストンタイヤの発展型であった。

このことから、前記スペックVに装着されるタイヤは、SタイヤであるRE55Sではないか?と予測する向きもある。確かに、これまでの水野発言にある「シビアなクルマ」とか「ドライサーキットをターゲットにしたクルマ」といった表現を裏付ける予測ではある。

◇ 8月 スペックVお披露目
仙台ハイランドで行われた、日産主催のGT-Rオーナー向けのドライビングレッスン『NISSAN GT-R PRESTIGE DRIVING EXPERIENCE』において、スペックVのお披露目が密かに行われた。外観のお披露目に過ぎなかったが、これまでスクープされてきた内容が、国内においても確認された。

1. フロントリップスポイラーにブレーキ冷却ダクトの設置
2. リアスポイラー上部のカーボン化
3. 新デザインのホイール(6本スポーク)。色は黒
4. カーボンブレーキシステム
5. カーボンバケットシート(リクライニング式)
6. マルチファンクションモニター周辺のガーニッシュやステアリングスポークにカーボン素材の使用
7. 2シーター車
8. リアシート位置にはカーボン製のカバーでラゲッジスペースが設けられていた。
9. タイヤは通常のBS製ランフラット(これはダミーかもしれない)

◇ 9月 スペックVのタイムは公表しない!
9月、再びニュルでテストを行っているGT-Rのスクープ写真が出回った。
スペックVについては、これまでスクープされた写真から大きな変化はないが、新たなアップデート情報としては、トランクリッドのカーボン化がスクープされた。

この直後、ポルシェからGT-Rの7分29秒に対するクレームがつく。水野氏は「クダラナイ」としながらも、やはり気になる様子。それを受けてか、直近のトークショーの中では「スペックVでのタイムアタックは公表しません」と宣言した。理由は、「我々にとって重要なのは、基準車の性能。あくまで、基準車にこだわっていく。ニュルのタイムは、GT-Rの性能を評価するためのパラメーターだ。決して一番をとることが目的ではないし、特殊なクルマでタイムを出しても意味がない」としている。

スペックV発売まで2ヶ月。馬力や価格に関する確定情報はいまだにない。
が、この記事を執筆中に驚くべき情報が入ってきたのでご紹介しよう。

【スペックV最新情報】
発表発売は2009年1月8日。
ナント、オートサロンショーの直前だが、一方で発売日が遅れたという情報も流れている。これまでのGT-Rの動きをみる限り、チューニングカーの祭典であるオートサロン後とみるのが妥当のような気がする。

注目のエンジン出力は485馬力。つまりは09モデルと同じということだが、がっかりすることはない。スクラッブスルスイッチのようなものがあり、これをONにした瞬間にパワーアップするらしい。ただし、これには2つの噂があり、スイッチを入れると最高出力は485馬力のままで中間トルクがモリモリになるという説。それと、最高出力が520~530馬力になるという二説がある。実際、サーキットでタイムを出すためには中間特性に優れているエンジンの方が有利であることから、前者の説が有力と当サイトではみている。問題は、常時このスイッチが機能するかという点だが、スピードリミッター同様にサーキットでのみ機能するよう設定されている可能性が高いとみるべきだろう。

また、サスペンションは「Rモード」のみの設定となり、ボタンも廃止されるらしい。サーキット走行専用車ともなれば、当然の処置と言えよう。

その他、細かい点はこれまでスクープされてきた内容と同じだ。カーボンブレーキ、フロントリップスポイラーのブレーキダクト(カーボン製のダクト)、カーボン製グリル(艶ありクリヤ塗装)、カーボン製リアスポイラー(艶なしクリヤ塗装)、ブラック内装、内装のシルバーの部分がクローム化、カーボン製のモニター枠およびミラーコントロールパネル(十勝24時間参戦車に装着されていたものと同じか)だ。特に、艶なしのカーボン製リアスポイラーの質感はかなり高いともっぱらの評判だ。

また、NISMOクラブスポーツパッケージに使われた、ホイール、チタンマフラー、リアディフューザー、バケットシートは当初の予定どおり装着されている。そして撤去されたリアシートの跡地には、カーボン製のカバーとモノ入れが設けられているのも同じ。

エアコンの装備については、残念ながら不明だ。

ボディカラーは全5色。新たに”限りなく黒に近いミッドナイトパープル”(紫、特別色)が設定され、その他、白(09モデルと同じ)、ガンメタ、黒、赤の各色が存在する模様だ。

気になる車両本体価格だが、1,575万円とのこと。
オプション関係では、DLタイヤが選択できるが費用は発生しないらしい(標準だとBSタイヤ)。その他、サッチャム、BOSE+ETC、新色の”限りなく黒に近いミッドナイトパープル”(60万円近いらしい!)。

既に注文したという人によれば、フルオプションだと16,978,500円!にもなるとのこと。まさに、価格もスーパーカー並みになったというわけだ。

まだまだ流動的なスペックV情報だけに、真剣に購入を検討している方は営業マンとのコンタクトを密にすることをおすすめしたい。当サイトでも、随時確定情報が入りしだいお伝えしていく予定だ。


スペックVは、サーキット走行に特化したクルマであることは間違いない。防振・防音装備は排除され、かつて日産にも存在した競技ベース車に近い位置づけでの登場となるであろう。
となれば、スペックV投入の意味とは何か。新たなワンメークレースが計画されるのか。それとも別なレース参戦を目的にするのか。馬力や価格以上に気になるところではないだろうか。