梅雨の合間の幸運なドライコンディションの中、行われたスペシャルイベントに参加したマシンたち。そのどれもが日本のモータスポーツ史に残る貴重なマシン。今回のスカイライン・フェスティバルには、プリンス直系のレーシングカーとスカイラインだけでなく、サーキットでスカイラインと戦ったライバルマシンが登場したのも大きな魅力だった。
93年にグループAの全日本ツーリングカー選手権が終了して17年。富士のストレートに、2台のRB26のエキゾーストノートが轟いただけでなく、コスワース・チューンとBMWの咆哮が響き渡った。た。たった5台のグループAマシンだったが、迫力は十分。20年近く前のレーシングカーとは思えないほどの速さを発揮するとともに、5人の往年のドライバーがかつての愛機を駆り、スリップストリームの接近戦を演じ、集まったギャラリーを沸かせた。

今回の展示車は、日産座間記念庫の収蔵車と個人オーナーの大切なコレクションを拝借。愛情いっぱいにメンテナンスされているので、当時のスピードに近いレーシングスピードで富士スピードウェイを駆けることが可能。貴重な文化遺産が埋もれることなく保存されていることにオーナー各位に敬意を表したい。


■NISSAN R380-AⅡ改(1967年:R380)
国際記録樹立車
ドライバー:横山 達
R380の高速記録挑戦は2回。最初は昭和40年(1965)10月6・14日(R380-I:5つの世界記録を樹立)、2度目は昭和42年(1967)10月8日だった。この記念車は42年、茨城県谷田部のコースにおいて7つの国際記録(50km、50マイル、100km、100マイル、200km、200マイル、 1時間)を樹立したII型[II型改]である。
【SPECIFICATIONS】
全長/全幅/全高 4,080/1,685/985mm
ホイールベース 2,360mm
トレッド(前/後) 1,424mm/1,372mm
車両重量 650kg
エンジン GR8(直6・DOHC)1,996cc
燃料系 ウエーバー45DCOE×3
エンジン最高出力 220ps以上/8,500rpm
トランスミッション ZF製5速
ブレーキ 4輪ディスク
タイヤ(DUNLOP R7) 前 550L-15、後 650L-1

■NISSAN R381(1968年:R381)
‘68日本グランプリ優勝車
ドライバー:北野 元
第4回大会(1967)の後、日本GPは年号を冠して呼ばれることになった。’68日本GPに合わせて日産が開発したのはシボレー製5.5L V8エンジンを搭載するR381。ユニークなエアロスタビライザー(左右別々に機能するウイング)のせいで“怪鳥”の異名を取った。記念車は、優勝した北野元選手の20号車である。
【SPECIFICATIONS】
全長/全幅/全高 4,410/1,790/1,265mm
ホイールベース 2,470mm
トレッド(前/後) 1,460mm/1,400mm
車両重量 835kg
エンジン シボレーV8・OHV(5,460cc)
吸気系 ウエーバー48IDA×3
エンジン最高出力 450ps以上/6,000rpm
トランスミッション ヒューランド製LG600(5速)
タイヤ(前) 4.75/11.30×15
タイヤ(後) 6.00/13.50×15


■スカイライン2000GT-R(1970年:PGC10)
‘70JAFグランプリ 特殊ツーリングカーレース
優勝車レプリカ
ドライバー:黒澤元治
昭和44年2月。スカイライン2000GT-B(S54B)の後継車として、スカイライン2000GT-Rがデビューしました。まだフェラーリすら2バルブDOHCだった時代に、直列6気筒4バルブDOHC・3キャブのS20型エンジンを4ドアセダンに搭載するという画期的なクルマだった。このマシンは日産ファクトリードライバーの一人であった黒澤元治選手が、新たなライバル、ロータリークーペを下して優勝したマシンのレプリカである。
【SPECIFICATIONS】
全長/全幅/全高 4,395/1,610/1,385mm
ホイールベース 2,640mm
トレッド(前/後) 1,370/1,365mm
車両重量 980kg
エンジン S20(直6・DOHC)1,989cc
エンジン最高出力 250ps/8,400rpm
エンジン最大トルク 21.5kgm/6,800rpm
エンジン燃料系 ルーカス製燃料噴射
ブレーキ(前/後) ディスク/ドラム
サスペンション(前/後) ストラット/セミトレーリングアーム
ホイール(前/後) 8.5インチ/11インチ


■スカイライン2000GT-R(1971年:KPGC10)
‘73全日本富士1000km 
クラス優勝車
ドライバー: 正谷栄邦
昭和45年(1970)10月のハードトップ登場で、2000GT-Rもハードトップとなりました。ホイールベースの短いハードトップは旋回性能が向上し、72年3月20日の富士GC・第1戦で高橋国光選手が“栄光の50勝”を達成した。このマシンは50勝に貢献したセミワークス仕様のマシンで、現存する貴重なレーシングGT-Rの1台である。エンジンはスライドバルブのインジェクション仕様でこれも当時のワークス仕様。
【SPECIFICATIONS】
全長/全幅/全高 4,330/1,665/1,370mm
ホイールベース 2,570mm
トレッド(前/後) 1,370/1,365mm
車両重量 950kg
エンジン S20(直6・DOHC)1,989cc
エンジン最高出力 250ps/8,400rpm
エンジン最大トルク 21.5kgm/6,800rpm
エンジン燃料系 ルーカス製燃料噴射
ブレーキ(前/後) ディスク/ドラム
サスペンション(前/後) ストラット/セミトレーリングアーム
ホイール(前/後) 8.5インチ/11インチ


■トミカスカイラインターボ(1983年:KDR30)
’83 GCスーパーシルエット
ドライバー:長谷見昌弘
1979年から始まったスーパーシルエットレースで、長谷見昌弘選手が’82、’83シーズンを戦ったマシン。この部門は大幅な改造が可能で、スタイルは市販車と同じでも、中身はフォーミュラカー並みのモンスター。迫力ある走りが魅力でした。エンジンはLZ20Bターボ(570ps)。’82年の5月デビュー。’82年2勝、’83年5勝と大活躍した。
【SPECIFICATIONS】
全長/全幅/全高 5,065/1,980/1,239mm
ホイールベース 2,615mm
トレッド(前/後) 1,487mm
車両重量 1,005kg
エンジン LZ20B(直4・DOHC)2,082cc
エンジン最高出力 570ps以上/7,600rpm
エンジン最大トルク 55kgm以上/6,400rpm
クラッチ B・B製トリプルプレート
トランスミッション ダグナッシュ製5速
ブレーキ ロッキード製4ポット
サスペンション(前/後) ストラット/セミトレーリングアーム
タイヤ(前/後) 270/590-16、350/700-19

■オートビューレックユーピーM1(1979年:E26)
‘82GCスーパーシルエット 
シリーズチャンピオン
ドライバー: 長坂尚樹
M1のプロカー仕様として生産されたこのシャーシナンバー77号車は、80年からグループ4仕様で耐久レースをメインに日本のサーキットで戦ってきた。81年にオートビューレックレーシングチームの手でグループ5仕様に改装。カウルの設計はマッドハウス。82年夏の富士と鈴鹿で耐久レース3連勝を飾り、GCスーパーシルエットレースでも長坂尚樹選手がシリーズチャンピオンに輝いた。このマシンは当時のチャンピオンマシンそのものである。
【SPECIFICATIONS】
全長/全幅/全高 4,700/2,000/1,100mm
ホイールベース 2,560mm
車両重量 1,030kg
エンジン E88(直6・DOHC)3,500cc
エンジン最高出力 470ps以上/9,000rpm
エンジン燃料系 クーゲルフィッシャー製燃料噴射
変速機 ZF製5速
サスペンション(前/後) ダブルウイッシュボーン
ブレーキ ate製


■DUNLOPシミズ・シエラRS500(1989年:RS500)
‘89全日本ツーリングカー選手権
ドライバー: 長坂尚樹/M・サンドロ-サーラ
フォード・シエラRSコスワースのエボリューションモデルがこのRS500。国内メーカー同士の戦いにプライベートチームが持ち込んだRS500が割って入り、87年(長坂尚樹選手)、88年(横島久選手)と2年連続、RS500で全日本ツーリングカー選手権のチャンピオンを獲得した。その圧倒的速さから、日産はRS500をR32GT-Rの開発目標としたという。
【SPECIFICATIONS】
全長/全幅/全高 4,460/1,730/1,380mm
ホイルベース 2,615mm
トレッド(前/後) 1,460/1465mm
車両重量 1,120kg
エンジン コスワースYBD(直4・DOHC)1,993cc
エンジン最高出力 430ps
変速機 ボルグ・ワーナー製5速
サスペンション(前/後) ストラット/セミトレーリングアーム


■オートテックM3(1993年:E30)
‘93全日本ツーリングカー選手権
ディビジョン2・シリーズチャンピオン
ドライバー: A・G・スコット/中谷明彦
全日本ツーリングカー選手権のディビジョン2は、1987年に登場したBMW・M3のワンメイクレースと化していった。当初2.3リットルだったエンジンは、2.5リットルのスポーツエボリューションへと進化した。このオートテックM3は、ステラ・レーシングチームが93年シーズンに走らせたシュニッツァー製のM3で、グループA最後のシリーズチャンピオンに輝いた。
【SPECIFICATIONS】
全長/全幅/全高 4,360/1,675/1,365mm
ホイルベース 2,562mm
トレッド(前/後) 1,460/1465mm
車両重量 960kg
エンジン M10/S14(直4・DOHC)2,467cc
エンジン最高出力 300ps/9,000rpm
変速機 5速
サスペンション(前/後) ストラット/セミトレーリングアーム



■B-ing KEGANI M3(1991年:E30)
‘92全日本ツーリングカー選手権
ディビジョン2・シリーズチャンピオン
ドライバー: 茂木和男/小幡 栄
野沢ケガニ秀行監督率いるKEGANI RACINGが走らせ、92年のディビジョン2チャンピオンに輝いたM3。全日本ツーリングカー選手権ではシュニッツァー製のM3が多い中、貴重なプロドライブ製のマシンである。プロドライブは、当初ラリー用のM3を製作していたが、87年よりグループAレースにも参戦し88年にイギリスツーリングカー選手権のチャンピオンを獲得している。
【SPECIFICATIONS】
全長/全幅/全高 4,360/1,675/1,365mm
ホイルベース 2,562mm
トレッド(前/後) 1,460/1465mm
車両重量 960kg
エンジン M10/S14(直4・DOHC)2,467cc
エンジン最高出力 300ps/9,000rpm
変速機 5速
サスペンション(前/後) ストラット/セミトレーリングアーム


■カルソニックスカイライン(1993年:BNR32)
‘93全日本ツーリングカー選手権
ディビジョン1・シリーズチャンピオン
ドライバー: 星野一義/影山正彦
R32 型で復活したGT-R(1989年8月発売)は、90年3月の全日本選手権開幕戦でレースにデビュー。その後グループAによる全日本選手権が終了する 1993年までの4シーズン全29戦をすべて優勝という輝かしい記録を残した。#12カルソニックスカイライン(星野一義・影山正彦組) は、90年・93年のチャンピオンカーである。
【SPECIFICATIONS】
全長/全幅/全高 4,545/1,755/1,340mm
ホイールベース 2,615mm
トレッド(前/後) 1,610/1,530mm
車両重量 1,260kg以上
エンジン RB26DETT(直6・DOHC)、2,568cc
エンジン最高出力 550ps/7,600rpm
エンジン最大トルク 50kgm/6,000rpm
変速機 FS5R30A・5速
サスペンション(前/後) マルチリンク/マルチリンク
ブレーキ(前/後) V.ディスク/V.ディスク
タイヤ(ホイール) 265/700-18(10J×18)





■HKS SKYLINE (1993年:BNR32)
‘93全日本ツーリングカー選手権
ドライバー: 羽根幸浩/萩原 修
「REINIK」日産工機製以外のエンジン搭載車で、全日本ツーリングカー選手権において、唯一のポールtoフィニッシュを飾ったのがこのHKS SKYLINEである。自社チューニングで得られたノウハウは、RB26DETT用パーツ開発にフィードバックされ、のちに「GT-RチューンといえばHKS」といわれるまでになった。このマシンは、当時のマシンそのもので今年レストアされて実走可能な状態に復活を遂げた。
【SPECIFICATIONS】
全長/全幅/全高 4,545/1,755/1,340mm
ホイールベース 2,615mm
トレッド(前/後) 1,610/1,530mm
車両重量 1,260kg以上
エンジン RB26DETT(直6・DOHC)、2,568cc
エンジン最高出力 550ps/7,600rpm
エンジン最大トルク 50kgm/6,000rpm
変速機 FS5R30A・5速
サスペンション(前/後) マルチリンク/マルチリンク
ブレーキ(前/後) V.ディスク/V.ディスク
タイヤ(ホイール) 265/685-18(10J×18)