アメリカのmotortrend.comというwebサイトに、R35 GT-R対欧米スーパーカー対決の記事が掲載された。ラスベガス郊外のサーキットやアリゾナのクライスラーのテストコースを使い、様々なテストを行った結果の記事で、8ページにもなる気合の入ったものだ。
あまりの文字量に躊躇していたわけだが、GTR-WORLDの読者からも、是非、この記事を翻訳して欲しいという熱い要望があり、その要訳を2回に分けてお伝えしよう。
全体的な流れは、アメリカ人による、アメリカ人のための記事という感じがしなくもないが、日本、アメリカ、ドイツ、イタリアのガチンコ対決は興味深いものだ。



ソース元はここだ。
motortrend.com (http://www.motortrend.com/)

以下、motortrend.comの要訳

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シボレーの最新マシンZR1を、ドイツ、イタリアそして日本の最新スーパーカーと全開テストを行った。

「スーパーカーはお城のようだ」(ヨーロッパ製が一番)は本当か?
確かに、長い間みんながそう思っていたはずだ。ヨーロッパのスーパーカーの価格とパフォーマンスに他の大陸のメーカーは太刀打ちできなかった。フェラーリ、ブガッティ、ポルシェ、ランボルギーニ、そしてアストンマーチンがそうであるように、「スピードはお金次第だ。どのくらい速いのが欲しいんだ?」という世界がそこにあった。

しかし2008年、日産がそれに殴り込みをかけるように”マンガロボット”にツインターボとタイヤをつけた8万ドルもしないGT-Rを発表して、そのとどろきはニュルからマラネロまで届いた。そこに2009年、典型的アメリカ人がスポットライトを浴びながら気取って入ってきた。そう、シボレーコルベットZR1だ。星条旗を背負った、最速のフェラーリ譲りのカーボンブレーキにアルミとカーボンのボディ、スーパーチャージャー付きエンジンのGM史上最強のマシンだ。にわかに他のコルベットと同一視できない、「一切妥協なし」の10万6千ドルもする最強ハードウェアだ。

これらの新しい2つのスターが、ヨーロピアンなスピードの世界に入りたがっているのは明らかだ。それじゃぁ、仲間に入れる手伝いをしてあげよう、というのが今回の企画だ。早速、GT-R、ZR1、GT2、599 GTB Fioranoの4台を5マイルの高速周回路をもつクライスラーのアリゾナ・プルービング・グラウンド(APG)へ持ち込んだ。インディカーやデイトナ24時間で活躍したDidier Theysが最高速テスト、Las Vegas Motor Speedwayのインフィールドでのラップタイムを担当した。

このアリゾナとネバダの砂漠での3日間は、NORAD(北米大陸防空司令部)さえ気づかないまさしく世界戦争だった。


【加速テスト】


0-60mph(約96km/h)加速テストでは、唯一のAWDであるGT-Rが480馬力という不利なパワーをカバーし、カタパルト発進のようなローンチコントロールシステムを使って3.2秒という好タイムをマーク。これは612馬力V12のフェラーリと同タイムだった。
ZR1のスタンディングスタートにはコツが必要だ。スロットルを開けすぎると、前進せずにたちまち604pound-feetのトルクはリヤタイヤをスモークに変えてしまう。しかし、うまくやると、3.3秒で60mphに到達した。このとき、ギヤはまだ1速のままだ。530馬力のポルシェGT2はリヤエンジン+ミシュランパイロットスポーツカップタイヤというトラクションのアドバンテージにもかかわらず3.4秒という平凡な結果に終わった。

次は60-100mph(96-160km/h)加速のテストだ。
60mphを超えると、トラクションよりも馬力とエアロダイナミクスが重要となってくる。単純に最高出力だけで結果を予想することができる。実際、480馬力のGT-Rがビリで100mphに到達するまで8.0秒を要した。GT2は7.3秒、599は7.1秒、ZR1は6.9秒だった。

1/4マイルでは、ビッグパワー軍団はGT-Rをさらに引き離す。実際、GT-Rの11.6秒@120.0mphは恐るべきタイムだが、GT2は11.4秒@127.9mph、599は11.3秒@126.4mph、ZR1は11.2秒@130.5mphだった。この数字を言葉で表現すると、ZR1が高額なヨーロッパのスーパーカーを打ちのめした。ということになる。

加速テストの結果:ZR1の勝ち


【最高速テスト】
時速25マイルという突風が吹きスタッフが躊躇する中、Didierは「問題ないよ、やろう!」とにこやかに言い最高速テストを行った。(表記する最高速は風速補正をしたもの)
DidierはまずZR1に乗りこみ、APGのオーバルコースを4周し、200.4mph(約320.64km/h)を記録した。Didierは「ターン1からアクセルを踏みっぱなしだったよ。最初のラップで、バンクにコヨーテがいたんだけど、こっちを見た瞬間一目散に逃げて行ったよ。」とベルギーなまりの英語で話した。

コルベットのすばらしい結果の後、5マイルのAPGのオーバルコースはこの手の車の性能を100%試すには物足りないことが明らかとなった。追い風にも助けられていたが、ZR1がターン3に入っていく時にまだ加速し続けていることを私たちのコンピューターのログが示していたのだ。そしてターン4に入っていくと強い向かい風となり、スピードメーターの針をストレートの終わりまでずっと押し下げていた。もし無風状態でスムースなストレートの状況があれば203mph、ひょっとしたら205mph(328km/h)はいくだろう。いずれにせよ、私たちは200mphは出ることを確認した。ZR1はまぎれもなくスーパーカーだ。

次はフェラーリ599GTBだ。599がターン4からストレートの入って来る時、ZR1よりスピードが乗っていることは私たちの目からも明らかだったにもかかわらず、目前を通過するまで全く静かだった。通過すると、V12サウンドが耳に響いてきた。Didierは「非常に安定している。バンクを左手だけで運転できたよ。」と言い、599のリアディフューザーによるダウンフォースが安定性に寄与していることを付け加えた。3周目に入った時、ラジオにDidierの声が入ってきた。「ピレリタイヤがいっちゃった。戻るよ。」
数分後に、599がピットに帰ってきた。APGは時計回りの周回路なので、190mph以上でのバンクでの走行が左フロントタイヤに異様な負荷をかけていたのだ。外側のトレッドの角はむしり取られたようになっていた。幸運にも、Didierのドライビングスキルが悲劇を未然に予防した。さらに幸運なことには、その前の周回で201.5mph(322.4km/h)を記録していたのだ。テストチームはフェラーリをきれいにし始め、インターンのCarlos Lagoはここから3時間の距離にあるフェニックスまで新しいピレリタイヤを取りに行った。

Didierにとってこのハプニングは大したこともなく、何事もなかったかのように今度はポルシェGT2に乗りこんでいった。4周目に199.8mph(319.68km/h)を記録した。ミシュランタイヤの山はまだほとんど残っていたが、Didierは車をピットに入れてしまい、あまりうれしそうではなかった。「ポルシェは高速域でフラフラしすぎる。前後がピョンピョン跳ねるんだ。大きなリヤウィングはフェラーリのボディ下にあるディフューザーほど効果がないみたいだな。もちろん、ポルシェはリヤにエンジンがあるからボディ下にディフューザーはつけられないけど。ターン3のバンプを通過するときが得に不安定だ。この車は好きじゃないね。怖いよ。」


最後は“ゴジラ”の出番だ。ターン4では3.8リッターV6ツインターボエンジンはレッドゾーン直前まで到達していた。4周目、再び不吉な音がラジオから聞こえてきた。「タイヤがいっちゃったよ。多分ボディーもね。」と冷静にDidierは言った。

GT-Rがピットに帰ってきた。ダメージはショッキングだった。左後ろのブリヂストンタイヤは180mph以上で完全に破壊されていた。あたかもどこかにヒットしたかのように、バースとしたタイヤはリヤのボディーも吹き飛ばした。Didierはこの事態を予感していた。「バンクに入ると、リヤがふらつくんだよね。左のリヤタイヤへの負荷が高いんだろうね。」プラクティスの時にそう語っていたのだ。

GT-Rのトップスピードは195mphだった。GT-RをAPGのガレージに入れて、クライスラーのメカニックたちがボディに応急措置を施した。私たちは携帯電話を取り出してインターンのCarlosに電話した。「ピレリでタイヤをピックアップしたら、次はブリヂストンに行ってくれ。」

最高速テスト後のインプレションで、DidierはZR1をべた褒めした。「とてもいい。多少フラフラするけど、ポルシェや日産よりよっぽどいい。」そして、Didierはフェラーリをイチ押しした。「現在のところ、一番オーバルで安定している。楽に速く走れる。」それだけではない。4台の中で最も速かったことも忘れてはいけない。

最高速テストの結果:ZR1の勝ち