HKS関西R35GT-Rインプレッション

「R35GT-Rはじっくりやります。まぁ、見ててや」と語っていたHKS関西サービスの向井敏之代表。デモカーは現在も様々なデータ採りの最中ということだが、いくつかのパーツを装着したというので、早速、試乗した。
ただし、リミッター解除装置である「VAC」も装着されていたが、今回の試乗はテストコースではないのでその効果を試すわけにはいかなかった。

Text:GTR-WORLD.net
Photo: GTR-WORLD.net


















HIPERMAX Ⅲsportとアドバン・プロトタイプを装着

納車直後から向井さんが「これだけは納得がいかない」といっていたドライビングポジションとシートのホールド性。街乗りではそれほどではないが、ちょっと横Gのかかるドライビングをすると体を支えきれない。また、長距離ドライビングでも疲れ知らずというレベルではない。そこで、真っ先に取り掛かったのがレカロシート用のシートレールの開発。
身長171センチの筆者が座った印象は、ノーマルシートより低めのポジションだが、極端なローダウンではない。ドライビングポジションにこだわる向井さんだから、きちんとステアリングのセンターに正対しているし、ガタつきもない。もちろん、レカロのホールド感にも不満な点はない。また、ノーマルシートを軽量なレカロに交換するだけで相当な軽量化にもなるし、不思議と走りへの期待感を高めてくれるのも事実。
ノーマルのセダンぽいシートポジションから、ぐっとスポーツカーらしくなったGT-Rに乗り込み、大和路のワインディングにスタート。
デモカーに装着されたサスペンションは、最近、本格的に発売開始となった「HKS HIPERMAX Ⅲsport」。その第一印象は、ダンパーがすごくいい感じに仕上がっているということ。フリクションが少ないフィールで、スプリングと減衰との相性もいい。
純正のビルシュタインは、どちらかというとダンパーよりスプリングが勝っているような感覚。そのガス圧が高いようなフィールが、ビルシュタインの乗り味の特徴なのだが、R35GT-Rの純正ビルシュタインもまさにその印象。
HIPERMAX Ⅲsportには、それがないのだ。とにかくフリクションが少なく、高速で多少うねりがあるようなところでも、車体の上下動がダンパーの減衰力で抑えられている。
わかりやすく言うと、腹いっぱいご飯を食べた後に純正の足まわりだと胃袋が上下に揺さぶられる感じがあるが、HKSのそれにはないのだ。メタボリックなオヤジのお腹にはいい感じだ。
スプリングの前後のバランスも普通に乗っている限りはまったく問題ない。アンバランスなピッチングも出ないし、普通にコーナーをハイペースで曲がっていくならなにも違和感ない。
車高は適度にダウンされていて、見た目もいい。ローダウンしたための底突き感とかは感じなかった。ただ、今回は公道での試乗だったので、サーキットを本気で攻めた場合の挙動を試していないことをお断りしておく。
ひとつ、このサスペンションを試乗して気が付いたこと。それは、車高調にありがちな「コトコト」耳障りな音がよく排除されているということだ。その理由は、キットをそのままクルマに組み込むのではなく、一旦バラした上で、スプリングがスプリングシートと接触するところの角をペーパーで磨いて面取りをしたり紙のシートを一枚挟んだりと、HKS関西のノウハウでセットされているからだ。
そんな細やかなセッティングができるところが、HKS関西のこだわりといえよう。
今回の試乗で、もうひとつのトピックがアドバンのホイールとサイドウォールに「プロトタイプ」と刻印されたタイヤ。
ご存知のように、R35GT-Rの純正タイヤはブリヂストン製もダンロップ製もランフラットタイヤ。それがこのアドバンの「プロトタイプ」は、ランフラットではないのだ。つまりサイドウォールが極端に固くなく、乗り心地が良いのではという期待がある。
試乗してみると、やはり乗り心地のよさに大きく貢献しているように感じる。
高速道路の継ぎ目で、純正はガツンと来るが、この「プロトタイプ」はポコンとタイヤがいなしてくれている。それでいて通常走行レベルではいやなステアフィールとか頼りなさはない。タイヤノイズも気にならない。純正と同レベルか、むしろちょっといいかもしれない。全体的に言えば、公道でGT-Rを楽しむのだったら乗り心地もいいし、現時点でもかなりいい仕上がりといえる。
ただ、サーキット走行をしていないので正確にはわからないが、絶対的なドライグリップ、ニュルブルクリンクをアタックするようなパフォーマンスは純正のほうがひょっとすると上かもしれない。しかしながら、GT-Rのオーナーの何割がそこまでストイックにパフォーマンスを追及しているのか? ちょっとラップタイプが落ちても、乗り心地のいいほうを選びたいオーナーもいるに違いない。
向井さんによると、このタイヤはいずれ市場にデビューするのではないかということだ。ランフラットでないから、万一のパンクについては不安があるが、今は高性能なパンク修理剤も販売されているので実用性に問題はなさそうだ。


まだまだ開発中というHKS関西のR35GT-R。
細かい凹凸はタイヤがいなしてくれて、大きな動きはフリクションの少なそうなダンパーの減衰力がしっかり抑え込んでくれている。
さすがに向井さんが普段の通勤に使って、自分好みというだけにすでにかなりのレベルに仕上がっている。

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